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アンカースターでは毎年、チームアクティビティとしてハロウィンの企画に力を入れています。今年は、話題のAI画像生成技術を駆使して、デジタル上での仮装にチャレンジしました。このブログでは、昨今のAI画像生成技術の進化に触れながら、Anchorstar Halloween 2022の作品が、どのように作られていったのかをご紹介します。
AI画像生成技術の進化スピードが凄まじい
2022年に入って、加速度的にAI画像生成技術が進化しているように感じます。今年3月に書いた「疑似体験:AIアート」でも、いよいよAIがアート作品を生み出せるようになってきたことをご紹介したばかりです。
最近では、専門的な知識がなくても、簡単に使えるスマホアプリでAIを活用した機能が搭載されるのが当たり前になってきました。
例えば、AIが画質の悪い写真を、高画質に修正してくれたり、
一瞬で写真からイラストを生成できるようになったり、
写真の中のオブジェクトを瞬時に切り取ってくれたり。
AIとの協業がより身近になって、専門的な知識も必要なくなってきました。
2022年は、まさにAI画像生成元年とも言える1年になりそうです。
DALL·E 2 を利用して、AIに絵を描いてもらう
旬のテーマが大好きなアンカースターは、今年のハロウィンはAIアート一択ということで、チーム全員がAI画像生成技術を駆使して、各々デジタル上で仮装することに。
今回、みんなが使うツールは、DALL·E 2というウェブツールです。誰でも無料で利用することができます。
前回、「疑似体験:AIアート」で紹介したAIアートを制作した時は、AIに指示を出す際に専門的なプログラミング言語を使う必要がありました。しかし今回使うDALL·E 2では、 プログラミング言語の知識は一切不要で、自然な言葉を入力するだけで簡単に画像を生成することができます。
例えば、DALL·E 2上で「openaiという言葉が描かれている店先」と入力すると、AIが学習済みの何億枚もの画像データを元に、以下のような画像が数秒で生成、提案されます。
他にも、「チュチュを着て犬の散歩をする赤ちゃん大根のイラスト」と入力すると、以下のようなイラストが生成されます。
このように、生成したい画像を、簡単な言葉を使って説明するだけで、瞬時に結果が返ってきます。
また、DALL·E 2では、DALL·E 2が生成した画像や、アップロードした画像から、その画像をさらに縦横に広げていくこともできます。言葉で説明するのが難しいので、実際にやってみます。
以下のようなカボチャのフリー素材画像を用意しました。これを、DALL·E 2にアップロードします。
アップロードは、画像ファイルをパソコンの中から選ぶだけです。
画像がアップロードされると、このように、自由に動かせる青い四角い枠と、文字の入力欄が現れます。
画像を生成したいところに青枠を動かし、枠の中に描きたいものを、言葉で入力していきます。
例えば「カボチャと、それを食べようとするネコのクリップアート(Clip art of pumpkin and cat that wants to eat it)」という言葉を入力して、「Generate(生成)」ボタンを押してみます。
すると、枠の中に一部だけ入っているカボチャ画像を自然に拡張するように、カボチャを狙う(というか、なぜかカボチャの後ろでフードボウルの中の餌を食べようとしている)猫が現れました。
更に範囲を広げるため、枠を右側にずらしてもう一度同じ言葉で「Generate(生成)」ボタンを押してみます。
すると、さらに猫がもう一匹現れましたね。
また、こんな微調整も可能です。後ろにいる猫ちゃんの目が少し怖かったので、もう少し可愛くしたいです。まず、猫ちゃんの目を消しゴムツールで消してしまいましょう。
そして今度は「カボチャと、目がかわいい猫のクリップアート(Clip art of pumpkin and cat with cute eyes)」と入力してみます。
すると、消しゴムで消した部分に、可愛い目が生成されました。このように、言葉を変えながら、無限に作品を上下左右に広げて生成していくことができます。
今度は、可愛い目をやめて、サングラスをかけてみましょう。
先程と同じように、消しゴムツールで目を消して「カボチャと、サングラスをかけた猫のクリップアート(Clip art of pumpkin and cat with cute eyes)」という言葉に変えて「Generate(生成)」ボタンを押すと、こうなります。
サングラスできました。すごいですよね。このように、DALL·E 2を利用して、好きな作品が簡単に作れることが伝わったでしょうか。
今回は、このDALL·E 2を利用して、アンカースターのスタッフ各々が自分の仮装をつくることにチャレンジしました。
Anchorstar Halloween 2022ができるまで
ここからは、Anchorstar Halloween 2022がどのように制作されたのかを説明します。
今回の手順は、各自がDALL·E 2のAI画像生成技術を駆使して仮装している自分を制作し、それを合体させて一つの大きなAIアート作品を完成させる、というもの。
前準備として、全員の顔写真をイラスト化します。まずはみんなに、自分の顔写真を用意してもらいました。
この顔写真を(DALL·E 2ではない)とあるAIツールを利用して、イラスト化します。このプロセスの詳細は長くなるので今回は割愛しますが、全員の写真がAIによって、以下の通り、イラスト化できました。
次に、各自が、各々のパソコンで、自分の顔のイラストをDALL·E 2にアップロードします。さて、仮装パーティのスタートです。
最初は、以下のように顔だけの状態からスタートします。
私は頭にバットマンの帽子を被ってみたかったので、まずは頭の部分を消しゴムで消した上で、「バットマンの帽子を被った女性を、アメリカンコミックな感じで(a woman wearing batman hat in the style of American comic)」という言葉を入力しました。
すると、以下のように何種類かの提案が現れます。いい感じにバットマンの帽子を被っていますね。とても自然ですし、AIがなんとなく、私の意図を汲み取ってくれているような気がします。
この中から好きなものを選び、先ほどご紹介した方法で首から下を進めていきます。
今度は「バットマンのコスチュームを来た女性をアメリカン・コミックのスタイルで(a woman wearing batman costume in the style of American comic)」と入力し、身体部分のイラストを生成していきます。
自然な感じで顔と身体が接続してくれましたね。
このよう感じで、それぞれ、好きなように仮装した自身のイラストをつくってもらいました。
このように、画像をどのように生成するかは、一人ひとりの言葉のセンスにかかっています。「ピカソのようなテイストで(In the style of Pablo Picasso)」のように、エッセンスを加えることで雰囲気を変えることもできますし、様々な形容詞を組み合わせることもできます。可能性は無限大。
出来上がった社員の仮装を一部ご覧ください。
苔口の仮装は、あまりに独特の世界観で、つっこみどころ満載ですね。
関の仮装は、大好きなHieronymus Boschというアーティストのテイストに近づけるように工夫したそうです。
アンカースターには感性豊かなメンバーが揃っていることが再確認できました。
いざ、全員集合!
さて、各自の仮装が完成したので、これらを1枚のアートに合体させます。複数の画像をいい感じに合成するところはまだAIではできません。なので、Keynoteを使って以下のような1枚をつくりました。
そして、この画像を改めてDALL·E 2にアップロードして、1枚のアートに仕上げていきます。
全員で集まって、背景のテーマやテイストを話し合いながら、DALL·E 2に細かい指示を出していきます。
ここでは「リサ・フランクとズジスワフ・ベクシンスキーのスタイルで、東京の不気味で未来的で歪んだ建物、煙、ゴシック、ファンタジー、石、暗い、緑豊かな、自然、霧(spooky, futuristic and distorted buildings in TOkyo, smoke, Gothic, fantasy, stone, dark, lush, nature, mist in the style of Lisa Frank and Zdzisław Beksiński)」という言葉を入力して、左側の背景を生成しています。
月を描きたい場所には「月(Moon)」を加えたり、墓地のような背景にしたい場合は「墓石(tombstone)」と加えたりしながら、どんどんアートを広げていきます。
作業を進めていると、誰かが「アンカースターだから、墓石にアンカー(錨)とスターを書こう」と言い出しました。
墓石の中心部分を消しゴムツールで消して「墓石の上に錨(Anchor on the tombstone)」と指示してみたら、完璧なアンカーとスターの墓石ができました。
こうして、1時間ほどチームで作業をして、大きなアートが完成しました。
「Anchorstar Halloween 2022」をじっくりとご覧ください。
左下にある文字も、AIに何度も指示を出しては、消しゴムツールで消して、を繰り返しながら生成しています。どうしてもAnchorstarは作れなくて、Anchors★になってしまいました。文字を思い通りに生成させるのはまだハードルが高いようです。
おわりに
いかがだったでしょうか。アンカースターでは、毎年様々な工夫を凝らしながら、みんなで楽しいハロウィンを企画しています。今年も、最新の技術が体験できて、出来上がりにも大満足、最高のチームアクティビティとなりました。
来年もお楽しみに!